民事再生(個人再生)

個人再生とは

民事再生(個人再生)は、借金を減額することができる債務整理方法です。自己破産のように借金が全額免除されるわけではありませんが、処分されたくない住宅や会社などを所有している人に有効な手続きとなります。

ただし、誰でも利用できるというわけではなく、一定の条件を満たしている必要があります。個人再生と民事再生にはどういった条件があり、どのような場合に向いているのかメリット・デメリットなども紹介しながら詳しく解説していきます。

目次
  1. 1. 個人再生とは
    1. 1.1. 個人再生(個人民事再生)の特徴とは?
    2. 1.2. 個人再生を利用できる場合とできない場合
    3. 1.3. 個人再生(個人民事再生)には2種類の手続がある
    4. 1.4. 個人再生と民事再生の違い
    5. 1.5. 個人再生のメリットとは
  2. 2. 個人再生のデメリットとは
    1. 2.1. 信用情報機関に事故情報が登録される
    2. 2.2. 手続きが難しく、時間がかかる
    3. 2.3. 個人再生の手続きにかかる費用がある
    4. 2.4. 保証人へ請求される
    5. 2.5. 官報に掲載される
  3. 3. 個人再生のデメリット以外に注意点は?
    1. 3.1. 債権者は平等に扱われる
    2. 3.2. 個人再生後に返済が必要
    3. 3.3. 罰金や税金など減額されない債権もある
    4. 3.4. 個人再生が裁判所に認められないことがある
    5. 3.5. 自宅を維持できない場合がある
    6. 3.6. 個人再生をすると家族や職場に借金のことを知られる?
  4. 4. 個人再生(民事再生)の手続の流れを解説
    1. 4.1. 1.相談・受任通知の発送
    2. 4.2. 2.取引履歴の開示・債務額の確定
    3. 4.3. 3.申立書類の準備・提出
    4. 4.4. 4.裁判所へ個人再生の申立て
    5. 4.5. 5.個人再生委員との面談
    6. 4.6. 6.再生手続きの開始決定
    7. 4.7. 7.各債権者の債権届出
    8. 4.8. 8.債権認否一覧表の提出
    9. 4.9. 9.再生計画案の提出
    10. 4.10. 10.書面による決議
    11. 4.11. 11.再生計画認可決定と確定
    12. 4.12. 12.再生計画に沿った返済の開始
  5. 5. 個人再生を検討する前に確認すべきこと
    1. 5.1. 転職・退職の予定
    2. 5.2. 他の債務整理の検討
    3. 5.3. 過払い金請求も検討が必要
  6. 6. 個人再生後に返済できなくなった場合
    1. 6.1. 返済が遅れても返済が継続できれば大きな問題にはならない
    2. 6.2. 返済ができなくなると再生計画の取り消しもある
    3. 6.3. どうしても支払えないなら自己破産するしかない
  7. 7. 個人再生の費用はどのくらい必要か?
  8. 8. 個人再生の解決事例
    1. 8.1. 個人再生の相談者の事例

個人再生とは

個人再生とは借金が返済困難だと裁判所に認めてもらい、多くの場合は5分の1程度に借金を減額し、原則3年(最長5年)で分割支払いする手続きです。

大きな括りでは民事再生という言い方をしますが、民事再生の中でも個人のみを対象にした手続きのことを個人再生または個人民事再生とよびます。

個人再生は任意整理と自己破産の長所を合わせたような手続きであり、自己破産では残せない自宅を残したまま債務整理ができるのが特徴です。

個人再生(個人民事再生)の特徴とは?

個人再生の大きな特徴は、「借金の減額」と「住宅を残したまま債務整理できる」という2点です。

借金の総額や資産状況によって最低弁済額は変わりますが、個人再生では借金を5分の1まで減額することができます。自己破産のように全額免除にはならないものの、大幅に借金を圧縮できるのです。

そして、住宅などの財産を残せるという点も、自己破産と大きな違いとなる個人再生の特徴と言えるでしょう。個人再生では「住宅ローン特例」という制度を利用することできます。この制度は住宅資金特別条例という民事再生法196条以下に規定された制度で、住宅ローン特則や住宅ローン特例とも呼ばれています。

住宅ローン特則を利用することで個人再生手続きをしながらローンの支払いを続けることができ、住宅を手放すことなく住み続けることができます。一般的には、借金が理由で住宅ローンの返済が難しくなれば、債権者の抵当権行使や自己破産によって住宅を手放さなくてはならなくなるものです。

しかし、住宅は生活の基盤となるものであり、債務者が再スタートをするために必要なものであることから住宅ローン特例が存在しています。

借金は5分の1に減ります

個人再生を行うことで借金は5分の1程度にまで圧縮が可能です。ただし、借金の圧縮率には3つの計算方法があり、次の3つの中から返済額を計算し、再生計画案を作ることになります。

  • 借金額から計算する方法(最低弁済基準)
  • 財産から計算する方法(清算価値基準)
  • 収入から計算する方法
小規模個人再生の場合には最低弁済基準と清算価値基準を比較して高い方から再生計画案を作成し、給与所得者等再生の場合には3つを比較して最も高い金額で再生計画案を作成する必要があります。
借金額から計算する方法(最低弁済基準)

個人再生では負債額から返済する額を計算する方法があり(最低弁済基準)、次のように借金額により借金の減額される額が変わります。

  • 借金が100万円未満の場合:負債額全額
  • 借金が100万円以上500万円未満の場合:100万円
  • 借金が500万円以上1500万円未満の場合:借金額の5分の1
  • 借金が1500万円以上3000万円未満の場合:300万円
  • 借金が3000万円以上5000万円未満の場合:借金額の10分の1

借金が少ない場合には個人再生よりも任意整理の方が向いていることが多く、借金が多すぎる場合には自己破産をする必要がありますので、多くの方は100万円に圧縮されるか5分の1にまで圧縮されるかのどちらかでしょう。

財産から計算する方法(清算価値基準)

裁判所が財産(不動産や自動車など)と判断するものの価値の総額から返済額を算出する方法です。

債権者側からすると、個人再生により返済できる金額よりも多くの財産を持っているのであれば債務整理ではなく財産の売却により返済してほしいと考えるのが当然です。

そこで個人再生では自己破産した場合の配当率以上の返済を最低基準としています。これを清算価値保障原則といいます。

収入から計算する方法

個人再生を行う際に入手鵜から返済額を算出するのは給与所得者等再生の場合に限られます。

収入から算出する場合には、収入から税金、社会保険料、必要最低金額の生活費を差し引いた金額の2年分の金額を基準としています。

住宅ローン特例を使うことで住宅を残せます

個人再生の特徴の1つに自宅の住宅ローンだけは支払い続けることで住宅を残したまま手続きできるというものがあります。

個人再生は裁判所を通す債務整理ですので、すべての債権者に対して平等に扱うという原則がありますが、住宅だけは残して手続きができますので、「借金額が多いため任意整理では対応ができないが、自己破産を行うことで自宅まで失うのは防ぎたい」というような場合でも対応可能です。

住宅ローン特例の利用要件

住宅ローン特例は小規模個人再生でも給与所得者等再生でも利用することができますが、利用するためには要件を満たしている必要があります。

まず1つ目の要件は、住宅ローンが住宅や土地の購入、新築、又は改良(リフォーム)に必要な資金であるということです。住宅ローンの借り換えがあった場合でも問題はありませんが、分割払いのローンであることが条件となります。そのため、一括払いの貸付である場合には住宅ローン特例の適用外となります。

2つ目の要件は、不動産の抵当権に住宅ローンの債権者や保証会社だけが設定されていることです。住宅ローン以外の債権者も不動産に抵当権を設定していれば、その債権者が抵当権を行使すれば住宅を失うことになるので住宅ローン特例の意味がなくなってしまいます。そのため、不動産に住宅ローン以外の抵当権が付いていては住宅ローン特例に認められないのです。

そして、3つ目の要件は、本人が所有している住宅であることです。個人再生を申立てた時点で本人が所有している住宅であり、床面積の半分以上が居住用になっている必要があります。つまり、自宅兼事務所のような場合でも、面積の半分以上が居住用であれば住宅ローン特例を適用することができるのです。

ただし、債務者自身が居住用として使用している住宅でなければいけません。あくまでも住宅ローン特例は生活基盤を守るための制度なので、生活の本拠地としていないような場合や、賃貸用にしている住宅は対象外となります。

住宅ローン特例で注意したい点

住宅ローン特例を利用するにあたり、上記で紹介した要件だけではなく注意したい点がいくつかあります。

まず、税金の支払を滞納しているような場合です。債務者が税金の支払を滞納し、差し押さえ登記されていれば住宅ローン特例は適用されないので、滞納を返済して解消する必要があります。

そして、住宅ローンを滞納している場合も、個人再生申立の前に滞納を解消しておくべきです。なぜならば、個人再生は債権者の協力も必要であり、滞納期間が長ければ再生計画の履行の可能性が疑われてしまうので、債権者の協力が得られない可能性があるからです。

しかも、滞納によって保証会社による代位弁済が行われた場合には、6ヶ月以内に個人再生の申立てをしなければなりません。住宅の競売手続が進んでいる場合でも住宅ローン特例は利用できますが、税金滞納などがあれば注意が必要です。

個人再生の認可見込みがある場合には競売手続きの中止命令を裁判所が発しますが、税金滞納があれば法律で優先債権とされているので競売中止が難しくなるのです。そのため、税金などの滞納は個人再生の申立ての前に解消しておく必要があります。

個人再生を利用できる場合とできない場合

個人再生は借金を大幅に減額して返済を続ける手続きです。そのため、減額した借金を返済できるだけの収入があることが個人再生を利用できる条件です。

収入があったとしても不定期な収入である場合には個人再生は利用できませんし、定期的な収入があったとしても返済ができない場合にも利用できません。

また、住宅ローンを除く借金の合計が5,000万円を超える場合でも個人再生を行うことはできません。

個人再生を利用できる収入に関する条件とは?

個人再生が利用できる要件として最も大切なことは、収入が安定しているという点です。

個人再生には小規模個人再生と給与所得者再生の2種類がありますが、どちらにしても将来的に継続又は反復した収入があることが条件となります。これは、個人再生では3~5年の再生計画に沿って借金を返済していくことが原則となるので、返済能力がなければ再生計画の履行が疑われることになります。つまり、きちんと期間内で最低弁済額を返済できるよう、収入の安定性が求められるのです。

ただし、安定した収入だからといって正社員でなければいけないという規定はありません。収入が安定していれば就業形態は問われないので、アルバイトや派遣社員でも利用することができます。 ただし、アルバイト収入しかないような場合には、雇用の継続性が判断のポイントとなります。個人再生の申立て時点でアルバイトやパートの雇用が1~2年経過していれば、継続した収入を得られていると判断される可能性が高まるのです。

また、個人事業主の場合も決まった収入ではないことから、収入が不安定と判断されがちです。そのため、よほど高額収入であれば安定性がなくても認められる可能性がありますが、個々の事情により裁判所が判断することになります。判断基準としては、毎月継続ではなくても、収入が継続的に確実に入る見込みがあるかどうかという点がポイントになるでしょう。

一方で、年金受給者の場合は受給条件を満たしていれば確実に毎月一定額の年金を受け取ることができるので、アルバイトや個人事業主よりも安定していると考えられます。年金も収入として考えられるので、継続した収入があると判断され、裁判所からも認可決定が得られやすくなっています。

収入以外の個人再生における利用条件

個人再生が利用できる条件として、継続もしくは反復した収入があるという収入面の条件以外にも3つの条件があります。

まず1つ目の条件が、債務(借金)総額が5000万円以下であるということです。これは民事再生法に規定されており、再生手続き開始時の債務総額が5000万円を超える場合には個人再生が利用できません。

この条件は「5000万円要件」とも呼ばれており、5000万円を超えるような高額債務の場合は個人再生で債務を減額してしまうと債権者に不利益を与える可能性もあることから制定されています。

債務総額に住宅ローンは含まれず、利息制限法引き直し計算をした債務額が5000万円以下であることが条件となります。債務額が5000万円以上ある場合には、個人再生を利用することは出来ません。

2つ目の条件は、小規模個人再生を選ぶ場合のみとなりますが、債権者の半数以上の反対がないことです。再生計画を裁判所に認められるには、債権者の半数以上が反対しておらず、かつ反対している債権者の債権合計額が全債務の2分の1を超えていないことが必要になります。つまり、再生計画認可には、債権者の同意が必須なのです。

そして、3つ目の条件は、給与取得者再生手続きの場合のみと条件となりますが、過去7年以内に破産法に基づく免責決定を受けていないということです。破産法に基づく免責決定とは、「個人再生手続のハードシップ免責許可決定」や「給与所得者再生の再生計画認可決定」、「破産手続免責決定」が当てはまります。

これは、給与所得者再生の場合は小規模個人再生とは違い、債権者の同意を得ずに要件が満たされていれば再生計画が認可されてしまうことから、何度も債権者に不利益を与えないためにも定められています。

そのため、もし給与所得者再生の手続きが開始されている場合でもこれらの免責許可決定から7年経過していないことが判明すれば、手続きは廃止されたり、不認可になります。

個人再生できない条件

次の場合には個人再生を行うことはできません。

  • 個人再生の予納金が納められない
  • 債権者の半数以上の反対がある(小規模個人再生手続の場合)
  • 過去7年以内にハードシップ免責許可決定、給与所得者再生の再生計画認可決定、破産手続免責決定を受けている(給与所得者再生手続の場合)

個人再生ができるかできないかの判断は個人では難しく、任意整理や自己破産などの債務整理手段の方が向いている場合もあるため、借金に困った場合には弁護士に相談することをおすすめいたします。

個人再生(個人民事再生)には2種類の手続がある

個人再生(個人民事再生)には、「小規模個人再生」と「給与所得者等再生」の2種類の手続きがあります。

この2種類には、再生計画が認可される基準に違いがあります。

個人再生の基本的な手続きは小規模個人再生と呼ばれる手続きです。住宅ローン以外の借金総額が5000万円以下であり、継続的もしくは反復して収入を得られる見込みがある場合に利用できます。つまり、要件を満たしていればアルバイトや自営業でも利用することができるのです。ただし、収入面の条件をクリアするだけではなく、債権者の過半数の同意も必要となります。

一方で、給与所得者等再生は小規模個人再生とは異なり、債権者の同意を得ることなく手続きを進めることができます。その代わり、将来の収入が確実かつ容易に得られる人が利用要件となり、小規模個人再生よりも収入の安定性が求められます。

また、可処分所得弁済要件と呼ばれる要件も設けられています。可処分所得弁済要件は、可処分所得(現在の収入から所得税や生活費などを差し引いた金額)の2年分が返済基準の1つとされることです。

これにより、手続きの最終的な弁済額が小規模個人再生よりも高額になってしまうことが一般的です。そのため、小規模個人再生が利用できるのであれば、給与所得者等再生より小規模個人再生を選ぶ人が多いのです。

小規模個人再生では、3年間で法律で定められている最低弁済額もしくは、所有する財産の合計金額の多い方の金額を返済していくことになります。

小規模個人再生要件

個人再生の2種類の手続きの内、基本とされている手続きが小規模個人再生です。

小規模個人再生では、3年間で最低弁済額もしくは保有している財産の合計金額のどちらか多い方の金額を返済していくことになります。

最低弁済額は借金総額によって異なり、借金が100万円未満であれば借金全額、借金総額100~500万円の場合は100万円が最低弁済額となります。

借金総額500~1500万円になると最低弁済額は借金総額の5分の1まで圧縮され、1500~3000万円以下の借金では300万円の弁済額、3000~5000万円の借金では借金総額の10分の1が最低弁済額です。

小規模個人再生がどんな人に向いているのかというと、債務総額が5000万円(住宅ローンは除く)以下であり、継続して収入を得る見込みのある人です。

継続した収入が将来的に見込めればいいので、サラリーマンなどの一定収入ではなくてもアルバイトやパートでも個人再生することは可能となります。

ただし、アルバイトやパートでも収入が少ないと返済能力が疑われるため、個人再生が認められないケースもあります。

また、小規模個人再生では債権者の過半数が再生計画に同意する必要があります。

そのため、要件を満たしていても債権者の過半数が反対すれば、再生計画は成立しないのです。

この債権者の同意は債権者の頭数だけではなく、債権者の債権額の合計が債権総額の半分を超えていなければ裁判所に認められません。

例えば、債権者が5社いて合計債務額が800万円だとします。この場合、債権者の内3社が反対するか、反対する債権者への債務合計が400万円以上であれば小規模個人再生が認められないことになります。

給与所得者等再生要件

給与所得者再生は、将来の収入が安定している人が利用できる個人再生方法です。

個人再生のもう1種類の手続きである小規模個人再生の利用要件も将来的に継続的な収入が得られる人ではありますが、給与所得者再生では更に収入が安定しながら将来の収入を容易に把握できなければなりません。

つまり、アルバイトやパートではなく、サラリーマンのように収入の変動幅が小さいような人に向いている個人再生方法なのです。

そして、小規模個人再生とは異なり、債権者の同意を必要としないことから認可要件は省略化されたものとなります。

そのため、個人再生にあたり債権者の過半数や、債務総額の過半数を超える債権者の反対があるようなケースにも収入が安定している要件をクリアしていれば向いているといえます。

ただし、給与所得者再生は個人再生のルール「清算価値保障の原則」により、最低弁済額が小規模個人再生よりも高額になってしまう可能性があるというデメリットがあります。

そもそも清算価値保証の原則がどのようなルールかというと、個人再生では破産した場合の配当金額以上の弁済を行わなければいけないというルールです。

なぜこのようなルールが存在するのかというと、個人再生では財産の換価処分がないので、もし債務者が多くの財産を保有しているにも関わらず個人再生で大幅に債務が減額されてしまえば、自己破産で財産を換価処分した方が配当が得られたと考えらるので債権者としては納得することが出来ません。

そこで、債権者が債務者の個人再生が納得できるように、破産した場合の配当率以上の弁済が必要であるというルールを基盤としているのです。

このことから、個人再生の最低弁済額は、「法律で定められた最低弁済額の基準」か「清算価値(保有している財産を全て換価した場合の金額)」のどちらかの多い方に決定されます。

しかし、給与所得者再生の場合、この2つの基準に「可処分所得(手取り給与)の2年分」が加わり、3つの基準の中で最も高額なものが最低弁済額になります。

そのため、給与所得者再生における最低弁済額は小規模個人再生の最低弁済額よりも高額になってしまうケースが多く、小規模個人再生を選ぶ人が多くなるのです。

個人再生と民事再生の違い

民事再生は法人が行うことが一般的ですが、民事再生を個人でも利用しやすいように簡易化したものを個人再生といいます。個人再生は債権者集会が開かれないなど手続きが簡単になっています。

民事再生では債務額に制限はありませんが、個人再生では借金額が5,000万円(住宅ローンを除く)を超えないことが条件です。

また、個人再生には個人再生委員が選ばれる場合がありますが、民事再生の場合には監督委員が必ず選ばれます。個人再生委員の報酬は20万円程度ですが、監督委員の報酬は最低でも200万円とされていますので費用面で大きく異なります。

このようなことから民事再生は会社が再生する場合に利用されるのが一般的であり、個人で民事再生を行うのは例外といえるでしょう。

個人再生のメリットとは

個人再生をするメリットは、まず貸金業者からの催促が止まることが挙げられます。

任意整理や自己破産でも同様ですが、債務整理を弁護士に依頼することで貸金業者宛に受任通知が送られます。この通知を受け取ると、それ以降は債権者が債務者本人に連絡することが禁止されるのです。

債権者からの取立てなどに悩まされている人にとっては平穏な生活が取り戻せるので、大きなメリットと言えるでしょう。また、任意整理と比較すると個人再生は、借金を大幅に減額ができることもメリットに挙げられます。借金を5分の1まで圧縮することができるので、任意整理と比べても大幅が借金減額が認められます。

しかも、条件が合えば住宅を手放すことなく個人再生手続きができるのです。これは住宅ローン特例と呼ばれる制度で、住宅ローンは支払いを続けながら、それ以外の借金だけを個人再生手続きによって整理するものになります。

自己破産の場合は住宅を含めた財産が処分されてしまいますが、個人再生では住宅ローン特例によって住宅を守ることができます。

そのため、住宅を失うことなく住み続けながら手続きを進めることができ、3~5年という長期間に渡って減額された借金を分割返済していくことができるのです。

この住宅ローン特例が利用できるのは個人再生の特徴でもあり、住宅を守りたいという人には自己破産よりも個人再生手続きがおすすめと言えるでしょう。

個人再生のデメリットとは

個人再生は借金の減額や、住宅処分を免れられるといった大きなメリットがありますが、デメリットももちろんあります。

信用情報機関に事故情報が登録される

個人再生における大きなデメリットは、信用情報機関に事故情報が登録されることです。一般的には「ブラックリストに載る」と言われることもあります。

信用情報はクレジットカードやローンの利用・新規作成の場合に、銀行やクレジットカード会社などが確認する情報で、主にクレジットやキャッシングなどの契約情報や残高、支払い状況などが登録されています。

この信用情報に個人再生手続きを行った事実が載ると、クレジットカードの利用や新規作成は出来ませんし、消費者金融への新規借り入れやローンを組むことが出来なくなります。ただし、一生利用できないというわけではなく、5~10年の期間が過ぎれば再び利用できるようになります。

個人信用情報機関にはJICC(株式会社日本信用情報機構)・CIC(指定信用情報機関)・KSC(全国銀行個人信用情報センター)の3つの機関があり、それぞれ債務整理記録が残る期間は異なりますが、期間が過ぎればブラックリスト状態は解除されるのです。

ブラックリスト状態から解除されれば、再びクレジットカードを新規作成することやローンを組むことが出来るようになります。

ただし、個人信用情報機関の情報とは別にカード会社は独自の社内情報を記録しているケースがあります。そうすると、信用情報のブラックリストが解除されても、社内情報には記録が残っているので審査を通過できないケースがあるのです。

ブラックリストとは、本当は何?徹底解説!

手続きが難しく、時間がかかる

個人再生は裁判所を通し、借金を圧縮する手続きです。そのため、裁判所に提出する書類を用意する必要があります。

用意する書類は給与明細、源泉徴収表、銀行口座の履歴、保険証券のような財産や収入に関する資料のほか、住宅ローンや不動産査定書など持っている財産により必要なものは増えます。書類の準備に何か月もかかることもあり、申し立て後にも返済額の確定や債権者の意見確認などで数か月かかります。

個人再生の手続きにかかる費用がある

個人再生は裁判所で行いますので、裁判所に納める予納金という費用が弁護士費用とは別途かかります。

裁判所によっては個人再生委員が選ばれることもあり、この場合の報酬も20万円程度はかかるのが一般的です。

保証人へ請求される

個人再生手続きをする際、保証人付きの借金がある場合には、事前に保証人への了承が必要です。

個人再生では全ての借金が対象となるので、保証人つきの借金のみを除外するようなことは出来ません。そのため、個人再生を行えば保証人へ債権者は返済を請求することになります。

主債務者は個人再生によって借金返済が減額されますが、保証人は借金残額から主債務者が返済する金額を引いた分が請求されることになるので、高額請求が保証人には行われることになってしまうのです。

個人再生手続きをする際には、保証人に迷惑をかけないように事前に保証人への相談が必須と言えます。

官報に掲載される

個人再生をすることで、官報という国が発行している新聞のようなものに掲載されます。

官報は行政機関の休日を除く毎日発行されている媒体で、法律の政令や条約の報告、国家試験の合格者などが随時掲載されています。その官報に、自己破産や個人再生をすると掲載されることになるのです。

掲載される内容は手続き名や手続きをした日時、名前、住所です。

個人再生の場合は、「再生手続き開始決定」「書面による決議に付する旨の決定」「再生計画認可決定」時の3回掲載されることになります。ただし、官報は一般的な新聞とは異なるので、一般の人が目にする機会は少ないものです。

官報を見ているのは信用情報機関や、役所の税担当者などが中心となるので、官報に掲載されたことで周囲の人に債務整理したことが知られてしまうという可能性は低いでしょう。

そのため、官報への掲載はデメリットにも挙げられますが、大きなデメリットにはならないと言えます。

個人再生のデメリット以外に注意点は?

個人再生を行う上で事前に知っておくべき注意点がございます。

同じ債務整理でも任意整理や自己破産とは扱いが変わることもありますので、十分に理解した上で個人再生に臨みましょう。

債権者は平等に扱われる

個人再生ではすべての債権者を平等に扱わなければなりません。そのため、特定の貸金業者だけは手続きをしない、保証人がいる借金だけは手続きをしないということはできません。

特定の借金だけは債務整理をせずに返済を続けたいという場合には任意整理をすることをお勧めいたします。

併せてチェック!

個人再生後に返済が必要

個人再生は借金を大幅に圧縮した上で返済をする手続きです。個人再生をすることで借金は減りますがなくなるわけではありません。自己破産の場合には借金はすべてなくなりますが、個人再生の場合には返済を続ける必要があります、

罰金や税金など減額されない債権もある

個人再生で減額されるのは借金だけです。支払い義務があるものでも借金ではない場合には減額対象にはなりません。

具体的には罰金や税金、健康保険料、養育費、賠償金などは個人再生をしても減額にならない債務です。

個人再生が裁判所に認められないことがある

個人再生は裁判所に認めてもらい減額される手続きですので、利用要件を満たさない場合や条件次第では裁判所に認められない場合がございます。

予納金が納められない場合、債権者からの反対意見が多かった場合、定期収入が減った場合などにはご注意ください。

自宅を維持できない場合がある

自宅を残したまま手続きを進められる個人再生ですが、条件次第では自宅を維持できない場合もあります。

自宅に住宅ローン以外の債務の担保権がある場合には自宅を維持することはできません。

自宅を残すということはすべての借金の中で住宅ローンだけは返済を続けることになりますので、裁判所も厳格に判断しています。

もし住宅ローン以外の債務の担保権があり、どうしても自宅を残したい場合には任意整理を行うか、別の手段を検討する必要があります。

個人再生をすると家族や職場に借金のことを知られる?

借金をしていることを家族や職場に隠している人は個人再生をした時に借金のことを知られるかどうかが気になるところでしょう。

個人再生をしても家族や職場に直接連絡が届くことはありませんが、書類や手続きのデメリットを考慮すると借金のことを知られてしまう可能性はあります。

個人再生の必要書類で借金を知られてしまう

個人再生は裁判所を通す手続きですので、裁判所に提出する資料が多数あります。この提出書類の中には配偶者の給与明細、保険証券、賃貸借契約書などもあります。書類次第では個人再生のことを話さざるを得ないこともあるでしょう。また、退職金見込証明書も必要になってきますので職場に発行依頼をする段階で借金のことを話す必要が出てくるかもしれません。

個人再生をする上で家族や勤務先に通知や連絡はありませんが、事前にどのように書類を集めるかは検討しておいた方が無難でしょう。

個人再生後に借金を知られてしまう

個人再生を行ったことで家族に借金のことを知られることはなくとも、個人再生を行ったことで信用情報機関に事故情報が登録され、クレジットカードの発行や住宅ローンに通らないなどのことから借金のことがバレるという可能性はあります。

1度の審査落ちであれば他の信販会社でのカード発行や他行でのローンという方法もありますが、信用情報機関に登録されている間は原則的にカード発行も住宅ローンの新規借り入れもできなくなりますので、事前に家族に話しておいた方がトラブルがないかもしれません。

個人再生(民事再生)の手続の流れを解説

個人再生における手続きの流れを、弁護士に相談してから再生計画が認可されるまで順を追って解説していきます。裁判所によっては個人再生手続きの流れが異なりますので、個人再生委員の選任などがある東京地方裁判所における手続きの流れを例として紹介します。

1.相談・受任通知の発送

個人再生に関して、まずは専門家に相談することをおすすめします。弁護士に依頼することで、受任通知が債権者に送付されます。受任通知によって債権者からの督促は止まり、手続きや交渉は弁護士に任せられるようになるのです。

弁護士と契約を締結すると、その当日(時間帯によっては翌日)に受任通知が各債権者へ送付されます。受任通知を受け取ると債権者は債務者と直接連絡を取ることができなくなるため、督促なども止めることができます。

2.取引履歴の開示・債務額の確定

債権者に受任通知の送付と同時に、取引履歴の開示手続きも行います。各債権者から取引履歴が開示されるので、利息制限法の上限金利への引き直し計算を行って債務額を確定します。過払い金がある場合には、過払い金返還請求を行うことも可能です。

3.申立書類の準備・提出

裁判所へ提出するための申立て書類や、提出する必要書類の収集などを行います。弁護士に依頼することで書類準備のサポートがあるので、スムーズに準備できます。

4.裁判所へ個人再生の申立て

裁判所へ申立て書類などを提出し、個人再生の申立てを行います。申立てと同時に、裁判所より個人再生員が選定されることになります。

5.個人再生委員との面談

裁判所に申立てをすると同時に、裁判所より個人再生委員が選任されます。収入や返済に関する質疑応答が面接では行われ、個人再生委員より裁判所に個人再生手続きを開始すべきか意見書が提出されます。この面談には弁護士も同席が可能です。

個人再生委員とはどんな役割を持つのか?

個人再生手続きの中で裁判所によって選任される「個人再生委員」は、個人再生をするにあたり重要な役割を果たします。

裁判所によっては個人再生委員を選任しないようなケースもありますが、東京地方裁判所では個人再生委員の選任は必須となっています。

個人再生委員は、再生計画の指導や監督だけではなく、再生計画の認可決定についても裁判所に意見を述べる人物です。

個人再生に精通した弁護士の中から選ばれることが多く、裁判所の補助的な役割かつ、より客観的に進められるように個人再生委員が存在しています。

個人再生においては個人再生委員がどのようなことをするのかというと、申立人の収支や財産、負債状況の調査や、積立トレーニングの管理など多くの工程で裁判所の代わりに調査や管理といった業務を行います。

そして、個人再生委員が見極めた上で個人再生を開始してもいいのか裁判所に意見書を提出することから、個人再生における裁判所の判断に個人再生委員が重大な影響を及ぼすといっても過言ではありません。

積立トレーニング(履行テスト)では何をするのか?

積立トレーニングは履行テストとも呼ばれ、東京地方裁判所などで設けられている手続きです。個人再生では、3~5年という期間で圧縮された借金を再生計画通りに返済していきます。

個人再生手続きでは収支や収入などの調査も行うので、数字上では返済シミュレーションを出すことができますが、本当に弁済ができるのかは実際に弁済が開始されなければ分からないものです。

そこで、再生計画を認可する前に判断材料の1つとして積立トレーニングが行われるのです。積立トレーニングがどういった内容のものかというと、簡単に言えば借金の返済トレーニングになります。

小規模個人再生でも給与所得者個人再生でもどちらの場合でも、積立トレーニングは運用されます。具体的にどのようなことをするかというと、裁判所によって選任された個人再生委員が銀行口座を開設するので、その口座に個人再生手続きの後に返済していくことになる金額と同額を月に一度払っていきます。積立トレーニングは個人再生の申立て手続きのすぐ後から開始され、東京地方裁判所では6カ月間(6回の入金)が行われます。

この6ヶ月間の間で入金の滞りがあれば、今後3~5年間で返済を続けることは難しいと判断されてしまい、再生手続きが不認可になってしまう可能性が高まるのです。反対に、個人再生委員によって継続的な返済に問題がないと判断されれば、6ヶ月の期間よりも前に終了するようなケースもあります。

そして、この積立トレーニングにおいて個人再生委員に入金していた金銭は、個人再生委員の報酬を差し引いて債務者に返還されます。

積立トレーニングは、個人再生の利用要件である継続的な弁済を立証するためのものであり、例え他の要件を満たしていても積立トレーニングで返済能力を疑われてしまえば、再生計画は認可されません。

そのため、個人再生手続きにおいて、積立トレーニングは認可・不認可のカギを握るテストであると言えます。

6.再生手続きの開始決定

裁判所が個人再生委員の意見を聞いた上で、再生手続き開始の決定を判断します。この時点で、個人再生の申立てから約1ヶ月ほどが経過しています。

7.各債権者の債権届出

各債権者に裁判所より再生手続き開始決定が通知され、同時に債権届出書も送付されます。これにより、各債権者は主張する借金額を裁判所に届けます。

8.債権認否一覧表の提出

各債権者から提出された債権届出書に記載された債権額を確認・調査し、債権認否一覧表を個人再生委員に提出します。

9.再生計画案の提出

債務額の調査が行われ、債権者からの金額変更がなければ申立書の記載額で確定されます。確定した債務額の元、再生計画案を作成して裁判所に提出します。

10.書面による決議

小規模個人再生を行う場合、提出された再生計画に賛成できるか債権者へ確認します。この際に、債権者の半数以上、債務総額の半額以上の債権を有する債権者から反対があれば再生計画の再提出が必要です。

11.再生計画認可決定と確定

書面決議で債権者の過半数の反対がなく、反対した債権者の債権額が債権総額の半額を超えていなければ再生計画の認可が決定されます。尚、給与所得者再生の場合は決議がないので、意見聴取で認可が決定されます。裁判所から再生計画案が認可されると、1ヶ月ほどで再生計画案が確定されます。

12.再生計画に沿った返済の開始

再生計画案決定が確定された翌月から、再生計画案に基づいた弁済が始まります。

個人再生手続きの流れ

個人再生を検討する前に確認すべきこと

転職や退職の予定がある場合には個人再生を行う際の支障になるかもしれません。

また、借金額や状況を考えると個人再生以外の債務整理の方が向いている場合もあります。

個人再生を検討する前に次のことをご確認ください。

転職・退職の予定

個人再生は将来にわたって継続的に収入があるという前提で返済計画を立てます。そのため、転職してすぐに個人再生をしようとしても継続的に収入があるかどうかが判断できず返済計画が認められない可能性があります。退職する場合には収入がなくなりますので個人再生を利用することができなくなります。

そのため、転職や退職の予定があるのであれば個人再生はできない可能性があります。どうしても個人再生したい場合には転職や退職を先延ばしにするという必要があるかもしれません。

他の債務整理の検討

債務整理には個人再生以外にも任意整理、自己破産、特定調停という手段があります。それぞれメリット・デメリットが異なり、場合によっては個人再生よりも任意整理や自己破産の方が向いていることもあります。

借金問題解決のために債務整理の利用を考えているのであればまずは弁護士に相談の上、自分に合った方法を選ぶようにしましょう。

個人再生と任意整理の違いとは

個人再生と任意整理はどちらも債務整理手段となりますが、手続きや借金の減額に大きな違いがあります。

個人再生では裁判所を介することで、減額された借金を全ての債権者へ平等に弁済していくことになります。つまり、全ての債務が対象となり、債権者を選ぶことは出来ません。

その反対に、任意整理の場合は債務整理をする対象債権を選ぶことが出来るので、連帯保証人が付いている債務は除外することができます。

しかし、任意整理では個人再生のように借金の大幅減額を望めません。個人再生では支払い能力などの要件を満たす必要はあるものの、認められれば債務額にもよりますが、概ね借金を5分の1まで圧縮することが可能です。

一方で、任意整理では利息制限法に基づく引き直し計算を行って借金の減額を請求しますが、それ以上の減額はほとんど行われることはありません。そのため、任意整理よりも個人再生の方が借金を大幅に減額し、月々の返済負担を減らすことができます。

また、個人再生と任意整理とでは手続きの進み方も大幅に異なってきます。任意整理では弁護士などに依頼すると、弁護士が債権者と交渉して今後の返済方法を決定します。

しかし、個人再生では裁判所へ申立てを提出し、裁判所が選出する再生委員によって調査などを行われ、再生委員の意見書を元に裁判所が個人再生計画の認可・不認可を決定します。

このように、手続きの方法や借金の減額が大幅に異なるので、借金状況や収入などを含めて債務整理方法を決定する必要があります。

個人再生と自己破産の違いとは

個人再生と自己破産の違いは、借金の減額・免除に関する部分と、財産の処分です。

個人再生では減額された借金を3~5年の期間をかけて返済していきますが、自己破産では借金は全額免除されるので返済の必要がなくなります。

しかし、自己破産では住宅や車などの財産の処分が必要になってしまいます。個人再生では住宅ローン特例によって住宅は守ることができますし、保有財産がよほど高額でなければ処分されません。

そのため住宅などの財産を守りたいという場合には個人再生の方が向いていると言えるでしょう。

「免責不許可事由」がある場合でも個人再生はできる

個人再生は自己破産を利用できない方や自己破産はしたくないという方が利用することが多い債務整理です。

自己破産をしようとしても借金の理由がギャンブルや浪費で合った場合には「免責不許可事由」というものに該当し裁判所に自己破産を認められない場合もあります。しかし、個人再生では借金の理由は問われませんので、ギャンブルを理由に作った借金であっても個人再生を行うことは可能です。

過払い金請求も検討が必要

昔作った借金がある場合には過払い金が発生している可能性もあります。場合によっては現在の借金以上の金額の過払い金が戻ってくることもあり、過払い金請求をすることで債務整理を回避できる、ということもありえます。

過払い金は2010年以降の借り入れには発生しませんが、2010年以前に1度でも借りたことがあれば今からでもお金を取り戻すことができます。特に2007年以前から借金をしている方には高い確率で過払い金があります。

しかし、過払い金は最後の返済日から10年を経過すると請求できなくなってしまいますので、もし心当たりのある方はお早めにご相談ください。

併せてチェック!

個人再生後に返済できなくなった場合

個人再生は借金を大幅に圧縮し3年~5年で分割返済する手続きです。そのため、最低でも3年間の返済を続ける必要があるのです。裁判所にて認められた再生計画案ですので、もしも返済ができなくなった場合には個人再生が取り消されるということもありえます。

返済が遅れても返済が継続できれば大きな問題にはならない

返済が遅れた場合には、債権者からの連絡が入ります。この段階ですぐに返済があれば大きな問題になることは少なく、再生計画は継続されるのが一般的です。

返済ができなくなると再生計画の取り消しもある

再生計画通りに返済ができなくなった場合には、個人再生が取り消されることになります。これは借金が5分の1に圧縮された場合でも元の金額に戻るということです。

ただし、再生計画の取り消しがあるかどうかは債権額によって変わります。裁判所に計画の取り消しを申し立てることができるのは総債権額の10分の1以上持っている債権者に限ります。取り消しを申し立てることができない債権者は裁判による差し押さえなどの手段を取ってきます。

どうしても支払えないなら自己破産するしかない

もともと返済ができないということで個人再生を行っていますので、再生計画が取り消されると自己破産するしかなくなります。

個人再生では自宅を残すことができますが、自己破産をすると自宅を残すことはできなくなります。また、免責不許可事由がありますので、借金の原因がギャンブルや浪費の場合には自己破産すらできない場合もあります。

個人再生が取り消されたとしても弁護士費用や裁判所に支払った費用は返ってきません。そして、自己破産しか手段がなくなるということを考えると、なんとしても計画通りの返済を進める必要があります。

個人再生の費用はどのくらい必要か?

個人再生を行うにあたり、どれほどの費用が必要になるのかは債務者にとっては非常に気になる部分です。

まず基本として必要となる裁判での費用は、申立て手数料1万円、官報広告費用の予納金12,000円、予納郵券5,000円前後、個人再生委員への報酬15~25万円です。

更に、弁護士へ依頼する場合には30~50万円、司法書士へ依頼する場合は20~30万円が相場となります。弁護士費用は高額に感じられるかもしれませんが、借金が減額されることを考えれば必要な出費といえるでしょう。

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個人再生の解決事例

借金問題は、自分一人で抱え込んでいても返済が楽になるものではありません。そのまま放置すれば借金が膨らんでいくことになりますし、最悪の状況では家や財産をすべて失ってしまうことになります。

しかし、弁護士など専門家に相談することで、個人再生で借金を大幅に減額ができながら住宅を守ることができたという事例も多くあるのです。実際に弁護士に相談して個人再生を行うことでどのような結果が得られたのか事例を紹介します。

個人再生の相談者の事例

40代男性のAさんは7年間にわたり借金を重ねてきており、浪費家のため給料だけでは生活費が足りない月などもあり借金が600万円近くに膨らんでいました。借金が一向に減らないことから弁護士に相談し、個人再生の申立てを行いました。安定した仕事に就いていることもあり、借金は400万円以上減額となり3年での返済計画で認可されることとなりました。住宅ローンはそのまま継続して返済することができるようになったので、住宅を手放すことなく債務整理をすることができたのです。

弁護士法人きわみ事務所
代表弁護士 増山晋哉
登録番号:43737

昭和59年大阪府豊中市生まれ。平成21年神戸大学法科大学院卒業後、大阪市内の法律事務所で交通事故、個別労働紛争事件、債務整理事件、慰謝料請求事件などの経験を積み、平成29年2月独立開業。

きわみ事務所では全国から月3,500件以上の過払い・借金問題に関する相談をいただいております。過払い金請求に強い弁護士が累計7億円以上の過払い金返還実績を上げていますので、少しでもお困りのことがあれば無料相談をご利用ください。

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