自己破産

破産宣告って何?借金をゼロにするために知っておくべきこと

破産宣告とは、自己破産の手続きを開始することで、2005年から施行された現行破産法では「破産手続開始の決定」と表記されています。破産宣告は自己破産手続きの一つではありますが、破産宣告をしたからといって必ず自己破産が成立するわけではありません。こちらの記事では、破産宣告をするときに知っておくべきことを徹底解説!自己破産を成立させるために、どのようなことをすればいいのか解説していきます。

目次

破産宣告って何?

破産宣告とは自己破産の手続きを開始することですが、実は現在ではあまり使われない言葉です。2005年から施行された現行破産法では「破産手続開始の決定」と表記されており、裁判でも破産手続開始の決定と言われます。これは破産宣告という言葉だと自己破産が決定したような印象を受けますが、実際はまだ自己破産が成立していないことが呼称が変わった理由でしょう。破産宣告をしてもその後自己破産が成立するまで、3カ月から1年の期間がかかります。また破産宣告をしても自己破産が認められないケースもあるので、破産宣告はあくまで自己破産手続きがスタートしたに過ぎません。破産宣告後もさまざまな手続きがあるので、1件1件確実に対応していきましょう。

もう少し細かく説明すると、個人の場合破産宣告をすると同時に免責の申立てをおこないます。免責の申立てとは、簡単に言うと借金をゼロにすること。破産手続きと免責手続きは似たような意味合いで使われることも多くありますが、法律上はまったく別物です。特に個人の場合借金をゼロにするために自己破産をすることがほとんどなので、免責の申立ては非常に重要です。そのため破産宣告のとき、破産の申立てだけでなく免責の申立ても一緒におこなうことが一般的です。

自己破産の手続きを弁護士や司法書士といった専門家に依頼した場合、これらの手続きは専門家が対応してくれます。しかし個人で自己破産の申立てをする場合、自己破産の流れについてはしっかり把握しておかなければなりません。破産宣告とはいったいどのようなものなのか、破産手続きと免責手続きの違いはしっかり把握しておきましょう。

保証人がいる場合の自己破産について

破産宣告を受けて自己破産手続きがスタートすると、その後は自己破産が成立するまでさまざまな手続きをおこないます。自己破産が成立すると借金をゼロになりますが、その中で保証人がいる場合は注意が必要です。

保証人がいる借金をしている場合、債務者が自己破産すると借金の請求が保証人にいってしまいます。保証人は債務者が支払い不能になったとき、借金を肩代わりするという契約です。そのため債務者が自己破産をして支払い能力がなくなると、借金の請求が保証人にいって保証人は支払いをしなければなりません。もし借金に保証人がいる場合、一度保証人に相談してから自己破産手続きはおこないましょう。

破産宣告後の効力について

破産宣告がおこなわれると、その後自己破産手続きが開始されます。自己破産手続きにはさまざまなものがありますが、同時にさまざまな制限がかかります。この制限は自己破産が認められるまで続くので、破産宣告前に対応しておかなければなりません。

破産宣告後破産を申立てた人は、破産管財人の管理下におかれます。破産管財人によってさまざまな調査がおこなわれるのですが、その調査のため以下のような制限がかかります。

  • 居住制限
  • 通信の秘密の制限
  • 資格制限
  • 官報公告
  • その他の効力・付随処分等

破産管財人がいつでも調査ができるよう引っ越しには許可が必要ですし、本人宛の郵便物も破産管財人のもとに届きます。これらの制限をかける理由としては、破産管財人が正確な調査をおこなうため。自己破産時は財産隠しなどがあると自己破産が認められず、破産管財人は自己破産時に不正がないかを調査します。そのため破産管財人に内緒で引っ越しをするなどのことをすると、財産を隠した疑いがあるかもしれないということで印象が悪くなります。破産宣告後は破産管財人や弁護士の言うことを守り、確実に自己破産手続きを終わらせましょう。

自己破産手続きの流れ(管財事件の場合)

ここまで破産宣告について解説してきましたが、それでは破産宣告後はどのような流れで自己破産が進むのでしょうか。自己破産には管財事件と同時廃止の2種類があり、まずは管財事件時の流れについて解説していきます。

自己破産の手続きが管財事件になることがわかると、手続きは以下のようになります。

  • 必要書類の提出
  • 破産手続開始の決定
  • 管財人の選任・面接
  • 債権者集会
  • 免責許可・不許可の決定

まずは自己破産に必要な書類を裁判所に提出し、書類が認められると破産手続きの開始(破産宣告)が決定されます。管財事件の場合裁判所から破産管財人が選定されるので、その後は破産管財人が面接・調査をおこないます。破産管財人の役割は自己破産の申立人に対して、自己破産の認可をしていいのか調査すること。提出された書類を確認し、自己破産の不許可事由に該当していないかなどを確認していきます。

破産管財人の調査が終了すると、その後債権者を集めた債権者集会がおこなわれます。債権者集会は債権者の意見を聞くためにおこなわれますが、債権者は出席しないケースも多いです。これらの手続きを経て免責が許可されるかどうかが決定します。管財事件は破産管財人による調査など時間がかかるので、自己破産には半年から1年くらいの時間がかかります。

自己破産手続きの流れ(同時廃止の場合)

一方同時廃止の場合、手続きは以下のようになります。

  • 必要書類の提出
  • 破産手続開始決定
  • 免責許可・不許可の決定

同時廃止とは自己破産の手続きを開始すると、同時に破産事件が廃止になること。そのため管財事件とは異なり、破産管財人も選定されなければ債権者集会も開かれません。管財事件の場合半年から1年の期間がかかりますが、同時廃止の場合早ければ3カ月ほどで自己破産が認可されます。

管財事件と同時廃止どちらの手続きになるのかは、借金の金額や借金の理由によって異なります。管財事件は破産管財人による調査が必要な手続きで、借金の金額が多かったり免責不許可事由に該当している場合、管財事件の手続きがとられます。免責不許可事由とは自己破産が認められない可能性があるもので、ギャンブルや投資で借金を作る、クレジットカード現金化をしたなどの場合、免責不許可事由に該当します。ただし、免責不許可事由に該当していても、日本の場合裁量免責といって裁判官の裁量で自己破産の免責が認められることがあります。そのため、たとえ免責不許可事由に該当していても、手続きをしっかりすれば自己破産が認可される可能性はあります。

自己破産にかかる費用

それでは自己破産にかかる必要はどのくらいなのでしょうか。自己破産にかかる費用は、同時廃止なのか管財事件なのかで大きく変わってきます。まず自己破産をするのであれば、収入印紙代1,500円と予納郵券代(切手代)3,000円~15,000円がかかります。予納郵券代は借入社数によって異なり、社数が多いほど高くなります。

これ以外に予納金・官報広告費として、同時廃止の場合1万円~3万円、少額管財の場合最低20万円、管財事件の場合最低50万円を裁判所に支払わなければなりません。管財事件は裁判所から任命される破産管財人にお金を支払わなければならないので、その分費用はアップします。同時廃止と管財事件では、かかる費用が大きく異なります。

ちなみにこれらの必要はあくまで裁判所に支払う費用で、弁護士に依頼する場合これとは別に弁護士費用がかかります。弁護士費用は一般的な相場では着手金20万円~40万円、成功報酬として20万円~40万円の合計40万円~80万円かかります。ただし弁護士費用は分割支払いができる弁護士事務所も多いです。法律の専門家である弁護士に依頼することで自己破産手続きはスムーズにいくので、弁護士に依頼すべきかどうかはしっかり考えましょう。

破産宣告して自己破産手続きを開始するには

それではそもそも破産宣告をするためには、どのような条件を満たさなければならないのでしょうか。法律的に自己破産の要件とされているのは、以下の4点です。

  • 破産手続開始決定の申立て
  • 予納金の納付
  • 破産手続開始原因があること
  • 破産障害事由がないこと

1つ目は破産手続開始決定の申立てがおこなわれること。これは裁判所に提出する書類に不備がないかなどを満たす必要があり、書類不備の場合は破産宣告がおこなえません。自己破産にはたくさんの書類が必要で、弁護士をつけていても資料がそろうまで1カ月以上かかります。書類には不備がないよう、何度も確認しましょう。

2つ目は予納金の納付がされていること。先ほど紹介したように自己破産をするとき、裁判所に予納金を支払わなければなりません。裁判所が指定した銀行口座にお金を振り込むのですが、振り込みが確認できないと破産宣告はできません。先ほど紹介したように管財事件の場合、予納金は最低でも20万円以上かかります。その場合事前に予納金を貯める必要があるので、計画的にお金を貯めていきましょう。

3つ目は破産手続開始原因があること。破産手続開始原因とは、その名の通り申立者が破産手続きをする理由が、しっかりと説明できること。個人の場合支払い不能状態であることを証明する必要があります。たとえば借金があっても毎月安定した収入があり、支払いができるとみなされれば自己破産はできません。そのため自己破産をするときには、現状の仕事や収入そして毎月の家計状況も裁判所に提出しなければなりません。借金や家計の状態は自己破産をする上で確認しなければならないので、もれなく伝えるようにしましょう。

4つ目は破産障害事由がないこと。破産障害事由とは嘘をついて自己破産をすることなどを指し、計画倒産などが主な事例です。個人の場合も自己破産手続き中に嘘をつくと自己破産が認可されないので、誠実な対応が求められます。

破産宣告後の流れについて

破産宣告後は裁判所が自己破産を認可するかどうかの調査がおこなわれます。破産宣告後の流れは管財事件の場合と同時廃止の場合で、大きく異なります。

管財事件の場合、破産管財人の選定がおこなわれます。管財事件は財産がある人や免責不許可事由に該当している人が対象なので、本当に自己破産を認可していいか破産管財人が詳しく調査する必要があります。選定された破産管財人は、その後申立者と面談を重ね客観的な立場で自己破産を認可していいか判断します。破産管財人から認可が得られたら、その後債権者集会が開かれます。これは債権者に対していくらの借金があり、配当がいくらになるのか説明するためのもの。しかし、実際債権者が出席することはほとんどなく、裁判官からいくつかの確認事項を尋ねられて5分ほどで終わることが多いです。管財事件の場合、これらの手続き終了後自己破産の認可・不許可の最終決定がおこなわれます。本当に自己破産をさせていいのか細かく調査されるので、同時廃止に比べると期間や手間はかなりかかります。

一方、同時廃止の場合には破産宣告後、裁判からなぜ借金をしてしまったのかなどの質問があります。これを破産者審尋と言い、弁護士がいる場合は破産者審尋はまずおこなわれません。その後裁判所が同時廃止を認めれば、破産手続開始決定と同時に破産手続廃止決定がおこなわれます。その後裁判所で免責審尋がおこなわれますが、これも数分で終わることがほとんどです。同時廃止は管財事件に比べると、手続きはかなり簡略化されています。

破産宣告をするメリット・デメリット

ここまで破産宣告について解説してきましたが、それでは破産宣告をするメリット・デメリットはどのような点があるのでしょうか。破産宣告を考えている人は、メリット・デメリット双方をしっかり把握したうえで自分が破産宣告すべきかどうか考えましょう。

破産宣告をするメリットとしては、以下のような点が挙げられます。

  • 債務返済義務の免責
  • 債権者は強制執行できなくなる
  • ある程度の財産を手元に残せる

債務返済義務の免責とは、簡単に言えば借金がなくなること。自己破産は支払い不能な状態の人の借金をなくす行為で、人生の立て直しを目的としています。借金が原因でギリギリの生活をしている人であっても、借金がなくなれば余裕のある生活が送れるようになりますね。借金がなくなることは金銭面だけでなく、精神面でも余裕ができる点もメリットです。借金があると毎月支払いに追われる生活になりますし、支払いができないと金融機関から毎日のように催促の電話がかかってきます。こうしたことが原因で精神を病んでしまうのであれば、きっぱり自己破産をして人生をやり直すのも一つの手です。

破産宣告をメリットとして、債権者が強制執行できなくなる点も挙げられます。通常お金の貸し借りの契約は、返済が遅れると一括請求ができるようになっています。しかし破産宣告後は、債権者は債務の強制執行ができなくなります。そのためいきなり裁判所から連絡がきて一括請求されるといった事態が避けられます。強制執行におびえながら過ごすことは精神的にもよくないので、これも破産宣告後のメリットですね。

また破産宣告後自己破産が成立したとしても、ある程度の財産は手元に残せます。自己破産後も残せる財産は次の通りです。

  • 破産手続開始決定後に取得した財産(新得財産)
  • 法律上差押えが禁止されている財産(差押禁止財産)
  • 99万円以下の現金
  • 自由財産の拡張がされた財産
  • 破産管財人によって破産財団から放棄された財産

これらに該当する財産と裁判所が認めれば、自己破産後でも財産が残せます。現金は99万円以下であれば手元に残せますし、残したい財産があるのであれば自由財産の拡張として裁判所に申請もできます。また、日常の生活に必要な家具・家電・洋服などは、そもそも財産として扱われないのでそのまま手元に残せます。自己破産は人生のやり直しを目的としているので、今後の生活のことも考えて対応してくれますよ。

一方破産宣告をするデメリットとしては、以下のような点が挙げられます。

  • 信用情報に傷がつき、一定期間ローンやクレジットカードと契約できない
  • 不動産や車を失う
  • 職業の制限(自己破産手続き中のみ)
  • 官報に掲載される
  • 連帯保証人に迷惑がかかる

自己破産は借金がなくなるかわりに、ペナルティとしてしばらくの間ローンやクレジットカードとの契約ができなくなります。これは自己破産が認可されたタイミングで信用情報がブラックと呼ばれる状態になり、ブラックが解消されるには少なくとも5年かかります。そのため自己破産後はしばらく借金ができず、お金をしっかり貯めて生活をする必要があります。生活の立て直しが自己破産の目的なので、お金をしっかり稼いで生活を立て直しましょう。

自己破産時には不動産や車といった大きな財産は換金され、債権者に分配されます。不動産や車は自由財産として認められないので、不動産や車を持っている人はこれを避けられません。

また自己破産手続き中は、一部職業には就業制限がかかります。対象となる職業は弁護士・司法書士・警備員などです。ただし職業の制限はあくまで自己破産手続き中だけなので、自己破産手続きが終了すれば制限は解除されます。そのため自己破産後も勤務したいのであれば、あらかじめ職場への節会をしっかりしておきましょう。

自己破産をすると官報に名前と住所が掲載されます。官報とは国の広報誌のようなもので、条約や政令などを国民に公示するためのものです。ただ、一般の人で官報をチェックしている人はまずいません。実は官報をチェックしているは闇金業者など、違法な業者です。自己破産をした人はその後もお金に困る可能性があるので、そうした人をターゲットにダイレクトメールを送ってきます。闇金からの借金はもちろんダメなので、そうしたダイレクトメールがきても無視しましょう。

自己破産は借金がゼロになり生活が立て直せますが、連帯保証人つきの借金をしている場合は注意が必要です。主債務者が自己破産をすると、借金の請求は連帯保証人にいってしまいます。つまり連帯保証人に迷惑がかかるので、自己破産をする前に連帯保証人との話し合いは必須でしょう。

このように破産宣告のメリット・デメリットはしっかり把握したうえで、破産宣告するかどうかを決めましょう。

自己破産は弁護士に相談すべき?

破産宣告をするまでには、さまざまな資料を裁判所に提出しなければなりません。

また裁判所からの質問にも対応しなければならないので、弁護士や司法書士に手続きを依頼する人も多いですね。自己破産時に提出しなければならない主な書類は以下の通りです。

  • 源泉徴収票や確定申告書類など収入に関する書類
  • 保有している銀行口座全ての利用履歴(2年分)
  • 保険に関する資料(保険証券、解約返戻金計算書など)
  • 自動車に関する資料(車検証、査定書など)
  • 不動産に関する資料(登記簿謄本、固定資産税証明書、査定書など)
  • 賃貸借契約書
  • その他購入か売却価格が20万円以上の財産資料(査定書など)
  • 家計簿(1〜3ヶ月分)や、公共料金の領収書など
  • 株やFXなどの投資をしている方はその資料

これだけの資料をもれなく集め、他にも借金をした理由などの資料も作らなければなりません。もちろん個人でも申請は可能ですが、弁護士や司法書士といった専門家に依頼するほうが確実でしょう。

弁護士に依頼する場合弁護士費用はかかりますが、法テラスを利用すれば無料で法律相談が可能です。また弁護士費用も分割支払いが可能なので、手元にお金がなくても弁護士に依頼ができます。自己破産が認可されるかどうかは人生の大きな分岐点なので、弁護士に依頼して確実に手続きを進めることをおすすめします。

自己破産後信用情報などが回復にかかる期間

自己破産をするデメリットの一つに、信用情報がブラックになる点が挙げられます。ローン契約やクレジットカード作成時には、審査で信用情報が必ずチェックされます。そのため信用情報がブラックの状態であれば、ローン契約やクレジットカードの審査に通ることはありません。それでは信用情報が回復するには、どのくらいの期間がかかるのでしょうか。

日本にはシー・アイ・シー(CIC)、日本信用情報機構(JICC)、全国銀行協会(KSCという3つの信用情報機関があり、自己破産の場合にはブラック情報が消えるまでにはCICとJICCが5年、KSCでは10年かかります。そのため信用情報からブラックが消えるのは、最低5年最長10年かかるということです。金融機関によって登録している信用情報機関は異なるので、早めにローンやクレジットカードと契約したければCICかJICCに登録されている金融機関に申込みをしましょう。ただし、これはあくまで信用情報機関からブラック情報が消えるまでの期間で、ブラック情報が消えたからと言って審査に必ず通るというわけではありません。過去にブラックだった人はクレジットカードやカードローンの審査に通りにくくなることもあるので、その点はあらかじめ覚悟しておきましょう。

また自己破産の手続き中は、職業制限があります。職業制限があるのは弁護士・司法書士・警備員などがありますが、職業制限は自己破産が認可されると解除されます。そのため大体の期間としては3カ月から6カ月が目安で、その期間特定の職業に就けなくなります。

弁護士と司法書士どちらに依頼する?

自己破産の手続きは個人でも可能ですが、提出する資料が多く裁判所とのやりとりも大変です。そのため法律の専門家である弁護士や司法書士に相談して、書類作成や裁判所とのやりとりを代行してもらうことができます。それでは弁護士と司法書士では、どちらに依頼すればよいのでしょうか。

結論としては弁護士に依頼したほうが、手続きは確実に進みます。法律と裁判の専門家である弁護士に対して、司法書士は登記手続きなど書類作成の専門家です。そのため自己破産についても、担当できる業務範囲が弁護士と司法書士では異なります。まず個別の債権額が140万円を超えている場合、司法書士では対応できないので140万円を超えている場合弁護士に依頼しなければなりません。また140万円以下の場合でも、司法書士の中でも法務省から認定を得た認定司法書士しか対応できません。こうした実情から多額の債務を扱うことが多い自己破産では、弁護士が対応することが多いです。そのため特にこだわりがなければ自己破産の手続きは弁護士に依頼したほうがいいでしょう。信頼している認定司法書士がいるといった事情以外は、自己破産の手続きに慣れている弁護士の方が確実に手続きをしてくれます。

弁護士の知り合いがいなくても法テラスであれば法律無料相談ができるので、法テラスで弁護士に出会うことはできます。

破産宣告をするときに知っておくべきこと

これから破産宣告をすることを考えている人は、破産宣告をする前に一度知っておくべきことを確認しておきましょう。まず自己破産手続き中の生活についてです。同時廃止の場合破産開始決定と同時に破産事件が廃止されるので、生活に大きな変化はありません。しかし管財事件の場合は、破産管財人による調査がおこなわれるのでいくつかの制限があります。たとえば、引っ越しをするときは破産管財人からの許可が必要です。また破産管財人との面談は平日におこなわれることが多いので、場合によっては会社を休まなければならないこともあります。自己破産手続き中は破産管財人による調査があるので、多額の出費や新たな借金はもちろん厳禁。破産管財人に勝手に引っ越しをしてしまうといったことをすると、自己破産が認められない可能性が高いです。そのため自己破産手続き中に生活が変化する場合、一度破産管財人に確認して許可をとってから行動しましょう。

また不動産を資産として持っている場合、不動産を手放さなければなりません。不動産のような資産は換金されて債権者に分配されます。換金するときには競売か任意売却なのですが、このとき可能であれば任意売却を選びましょう。理由としては任意売却の方が転居費用の交渉がしやすいからです。不動産などの資産を持っているのであれば弁護士をつけてサポートしてもらったほうがいいので、この辺りは弁護士と相談しながら慎重に手続きを進めましょう。

自己破産が認可されると借金がなくなりますが、実は免責されない債務も存在しています。免責されない債務を非免責債権と言い、自己破産をしても支払いからはまぬがれません。非免責債権には税金や社会保険料も含まれているので、自己破産をしてもしっかり支払わなければなりません。そのため税金や社会保険料を支払うためのお金は、しっかり確保しておきましょう。

自己破産後も残る非免責債権とは

自己破産が成立しても、支払い義務が残る債権のことを非免責債権と言います。自己破産が成立すると借金がゼロになりますが、非免責債権は支払いをしなければなりません。主な非免責債権には、以下のようなものがあります。

  • 税金、年金、社会保険料など公的な支払い
  • 破産者の悪意・不法行為に基づく損害賠償請求権
  • 子供の養育費や扶養義務にかかわる支払い
  • 従業員への給料
  • 破産名簿に掲載されていない債権

個人であれば税金・年金・社会保険料など公的な支払いは特に注意が必要です。 これらの支払いがおこなわれていない場合、口座の差し押さえがおこなわれる可能性もあります。もし税金などが支払えない場合、役所に行って支払いを待ってもらうという対応もできます。しかし役所にもいかずそのまま放置していると、いつの間にか口座が差し押さえられてしまったということになりかねません。こうした事態を防ぐためにも、税金などを支払うお金はあらかじめ確保しておきましょう。

また自己破産時には債権者名簿という債権者一覧を裁判所に提出しなければなりません。自己破産は債権者名簿に掲載された債権のみ支払いを免除されるので、債権者名簿に掲載されない債権を請求されると支払いに応じなければなりません。そのため債権者名簿を作成するときは、漏れがないようにしましょう。特に個人から借り入れをしている場合、記載漏れがおこる可能性があるので注意が必要ですよ。

弁護士法人きわみ事務所
代表弁護士 増山晋哉
登録番号:43737

昭和59年大阪府豊中市生まれ。平成21年神戸大学法科大学院卒業後、大阪市内の法律事務所で交通事故、個別労働紛争事件、債務整理事件、慰謝料請求事件などの経験を積み、平成29年2月独立開業。

きわみ事務所では全国から月3,500件以上の過払い・借金問題に関する相談をいただいております。過払い金請求に強い弁護士が累計7億円以上の過払い金返還実績を上げていますので、少しでもお困りのことがあれば無料相談をご利用ください。

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